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執筆者の写真ATAKIKAKU

無造作を造作する

CGTeamのfujiです。


今回も、過去の投稿に続くかたちで二条城のお話です。


特別名勝にも指定されている、たいへんに美しい二の丸庭園を拝見して参りました。



池を中心に、大小の庭石が不揃いでありながら見事な調和をもって配されています。





写真左奥には石の橋が架かっています。


庭園において橋とは実用的に使用されながらも

それ自体が景観を構成する大事な要素です。


庭石が上下の伸びを(右手前の大きな石の影響でしょうが)

池と橋が横の広がりを感じさせます。




建物しかり書物しかり、何かを長く保存するための労力は計り知れません。


古きを尊び、次代への継承に尽力される職人さん方の思いの一端に触れました。


職人さん好きの私としては胸が熱くなります。




庭園は人工物。

しかし、いかにして自然のままの姿に近い"無造作"を表現するのでしょうか。


木々の枝ぶり?

様々な緑色の取り合わせ?

地被植物や石、砂利の広がり?




より自然に見えるように、とはCG制作においても気をつかうところです。


植栽の配置に際しては、立体感、色の重なり、枝葉の密度を意識します。


建築物や家具などに関しても、CGの用途によっては作りこみが必要です。



欠けたところの無い、きれいなものを作ることは割と簡単です。


しかし、それではいかにも人工的であり、つくりもの感は拭えません。


歪み、傷、摩耗、色ムラ、汚れ……


そうしたディテールを造作することで生まれるのが

リアリティーをもった"無造作"なのです。




そう考えると、現実の造園においてもより自然に、

かつ鑑賞するということを意識して同様の意図的な欠損を施しているのでしょう。


枝を落として奥の木や遠景を透かして見せたり、苔のはがれ具合を演出したり。


それでもおそらく、大きく手を入れることはめったにしないのでしょう。


もともとの有り様に寄り添いながら、細やかな調整を重ねているのだと思われます。


やはり胸が熱くなります。(2回目)




ついでにもう一か所、おススメしたいところがあります。


ご存知、銀閣寺(正式名称『東山慈照寺』)の庭園です。


侘び寂び(わびさび)の美に触れることができ、たいへん見ごたえがあります。





ひし形の飛び石を境に砂紋と苔がコントラストを成す枯山水。うつくしい……





裏山の参道。

石階段と苔、朽ちた竹の垣根の取り合わせが

何とも言えず鮮やかに目に焼きつけられました。


川のような筋には、水が流れていないことで醸し出される寂(さび)が。





やわらかく陽光を受ける苔の雰囲気がとても好きです。




一口に庭園といっても、国や様式、植物などの違いで表情は実に様々です。


詳しい知識が無くとも、何となく心に響く、感覚を刺激される

そんな庭園はあるものだと思います。


みなさんはこれまで、どんな庭園に出会いましたか?


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