清里支店の鳴海です。
今回は休みに、松濤美術館の特別展「終わりのむこうへ 廃墟の美術史」へ赴き、
なぜ人が廃墟に魅入られるのかを考察しに行きました。
かつては不便・汚い・スクラップにされるべき存在だった廃墟や古民家ですが、
昨今歴史的価値としての軍艦島や、資源的価値としての古民家再生など何かと注目されてきています。
しかし美術史において廃墟は時の移ろい、栄枯盛衰の象徴としてノスタルジーを呼び起こすものであり、
18世紀から既にピクチャレスクなものとして注目されていました。
このように建築業界と美術とでは、廃墟観は異なっているように思われますが、
経年変化することで建物に積み重なっていく文化的背景に、人々が魅かれているという点で、
一致しているのではないかと思います。
建築に使われる素材は、長い年月の中で様々な環境に曝されることで均質性を失い、変質していきますが、
陰影を帯びていく様は、見る者にあたかも質量を増していくように感じさせるのではないでしょうか。
その“質量感”に人々は建物の表情を読み取り、文化的価値を見出していくのではないかと思いました。
いま清里支店では、建築の表情を表現するCGづくりを研究しています。
ただ影をつけるだけ、よく見えるようにただ明るくするだけでない、
建築の表情を豊かに表現する“質量感”を生み出すことで、
静止画でも動きを感じられる、魅力的なCGを目指しています。
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